1.知識を得るには何が必要?

知識を得るためには知識が必要です。
新しいことを学ぼうとするとき、私たちはそれまでに手にした知識や経験の記憶を総動員し、理解しようと試みます。
何もとっかかりのない状態では、情報を取り込むことは困難です。知識がなければ、いくら理路整然とした話でも単に音の連なりにすぎません。

OJTの指導担当者からは、よく「(トレーニーが)わかっているかどうかがわからない。わかっていないとしたら、どうして質問してこないのでしょう?」といった悩みを聞くことが多いです。
そういった悩みが生まれるときは、相手が”質問ができるレベルにないほどわかっていない”ということだと考えた方がいいでしょう。
相手のわかる言葉や、相手の持っている知識に照らして説明の方法を工夫する必要がある、ということです。

2.正しく言葉を使えているか?

知識とは、言葉による意味情報のことです。
人は、すでに知識を持っているからこそ考えることもできるし、記憶することもできます。そのため、早い段階で知識の元となる”言葉”を蓄えること、そして言葉を正しく使うということはとても重要です。
言葉の間違いや勘違いはコミュニケーションでのすれ違いを生じさせ、仕事のミスやトラブルにつながることも多々あります。

特にOJTの指導担当者は、正しい言葉を使って説明する、ということを意識する必要があります。
当たり前のことのように思われますが、現実には以下のようなことがしばしば見られます。

  • 「自分が話しているつもりの言葉」と、「口から発している言葉」が微妙に異なっている。
  • 言葉をあいまいな意味で使っている。 ……など

指導担当者は、そんなに厳格に表現しなくても意味はわかるだろう、と思うかもしれません。しかし、特に相手が新人だと、彼ら彼女らの知識はまっさらな状態ですから、あいまいに言葉を使うと理解がゆがんでしまいます。

3.言葉を点検しよう

上記を踏まえ、指導担当者は、OJTを行う前に自分の言葉の使い方を点検してみるとよいでしょう。言葉を点検するということは、つまり自分の理解度を点検する、ということでもあります。

ものごとを理解するためには、言葉の理解が第一に必要です。
指導担当者としてOJTを任せられた人は、ぜひ言葉の使い方に注意し、またトレーニーにも習慣づけるようにしてください。

★詳しくは→OJTの理論&手法 「知識と言葉」


*『OJT新人ノート』には、新人が初めて触れた言葉を記録するためのページ、「私の専門用語」というコーナーがあります。
これを指導担当者と新人が共有することで、新人の理解度を把握したり、指導の漏れがないかを点検できます。
また、新人が書きとめた言葉を使って対話をすることで、理解をより深めることにつながります。
OJTをより効果的にするために、ぜひご活用ください。